えいごTOPICS Vol.03

日々の英語の学習を楽しみながら、英語で表現できることを増やしていくための秘訣について、国際教養大学の町田智久先生にお話を伺いました。

学習している英語を使って表現できること

公文の英語教材では、子どもたちに身近な場面を多く扱っています。そのため、教材に出てくる表現を使って、普段の生活や身近な出来事を英語で表現することができます。例えば、E教材11a面に出てくる「I get up at seven.(わたしは7時に起きます。)」という表現を使って、自分が起きる時間を相手に伝えることができます。単語を一部入れ替えるだけでも、「I go to school at eight.(私は8時に学校に行きます。)」など、表現できることはぐんと広がります。

英語を学習する際は、「自分だったら、この英語はどういう場面で使えるかな」と、実際に使っている様子をイメージしながら学習するとよいでしょう。きっと、表現できることが増えていくという実感が得られると思います。

聞こえた通りに声に出して言ってみることが大切

学習が難しくなってきたり、学年が上がってきたりすると、英語を声に出すのが恥ずかしいという気持ちになることがあるかもしれません。英語は「言語」ですので、実際に声に出して何度も言う練習をすることで、初めて上達します。また、日本語と英語では、発音だけでなく、リズムやストレス(文や単語の特定部分を強く読むこと)、イントネーションなど、様々な違いがあります。その違いに慣れていくためには、まずは「E-Pencilで聞こえた通りに声に出して言ってみる」という練習が、実はとても大切です。個別の発音(例:/r/や/th/の発音)にのみ注意を向けるのではなく、単語を強く読んでリズムを作り出すことや、語尾の上げ下げにも注意を向けてみて下さい。そういった練習を積み重ねていくことで、相手にきちんと伝わる英語の話し方が身についていきます。

小さな成功体験を積み重ねよう

最初から英語が得意で上手に話せるという人はいません。英語が上達するためには、小さな目標を設定して、それを達成するという体験を積み重ねていくことが大切です。小さな成功体験というのは、何でも構いません。例えば、「TOEFL Primary®*1」のような外部試験にチャレンジして、「音声のスピードがすごく速いけど、この問題はよく分かった」という経験でもよいですし、「EIH(English Immersion Hour)*2」のようなイベントに参加して、「勇気を出して英語を話したら通じた」や「英語で話していることが聞き取れた」というのも貴重な経験です。教材で学習した英語を、おうちの人に使ってみて「伝わった」という身近な経験でもよいですね。そういった小さな成功体験を積み重ねていくと、どんどん自信がついてきて、英語学習に対する意欲も高まっていくでしょう。

*1/TOEFL Primary®:「英語運用能力」を測るための試験→詳しくはこちら
*2/English Immersion Hour:公文で英語を学ぶ全国の小学生を対象に実施している、インターネットのビデオ会議システムを利用した英語イベント→詳しくはこちら

将来の夢の場面を想像してみる

空港で働きたい、海外とやり取りする機会が多い会社で働きたい、など、子どもたちにはそれぞれ色々な夢があると思います。どのような仕事にも、必ず誰かとのつながりは出てきますよね。協働はこれからの世の中には欠かせないことですし、日本のどこにいてもグローバル化によって英語が必要になってきます。英語は、最終的にはコミュニケーションを取るための道具です。「将来こんな場面ではどのように伝えると仲間とうまくいくかな。」「知っている表現だけでは伝えるのが難しいけど、こんな風に言い方を変えてみたら伝えられるかも。」など、将来の場面を少し想像しながら学習してみるといいですね。そうすることで、表現の幅も広がっていきますし、毎日の学習が楽しくなってくると思います。英語を学習することを通して、子どもたちには、将来の可能性を広げて欲しいですね。

おうちの方へのメッセージ

私自身も、自分の子どもの学習を見ていると、どうしても期待が先行してしまい、もどかしい気持ちになることがあります。けれども、学習するのは子どもですので、子ども自身のペースや考えが一番大切だと感じています。特に、公文で学年より先の学習をしている子どもたちは、学習した内容を忘れてしまったり、難しいと感じたりすることがあるのは当然です。「頑張っていること自体がすごい」と、長い目で見てあげて欲しいと思います。人間はコンピューターとは違うので、一度だけではなく何度も繰り返し学習することで覚えていきます。せっかく学習している英語が嫌いになってしまうと、また好きにさせるのはとても大変です。子どもたちが楽しく学習を続けていけるように、良いところを少し大げさにでもほめてあげましょう。また、時間に余裕がある時は、数分だけでもお子さんの音読を聞いてあげるとよいですね。おうちの方のサポートは、子どもたちにとって大きな力になると思います。

■町田 智久(まちだともひさ)先生 プロフィール

国際教養大学 グローバル・コミュニケーション 実践研究科(大学院) 教授

東京都生まれ。信州大学教育学部卒業後、英語教師として都内の公立中学校に勤務。1998年に第47回読売教育賞優秀賞(読売新聞社)を受賞。東京学芸大学大学院にて修士号取得後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校大学院へ留学し、修士号および博士号取得。2021年4月より、国際教養大学大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科 英語教育実践領域教授。