第4回 公文式英語の強み

皆さん、こんにちは。今回は、子どもたちが使うKUMONの英語教材・教具を含めた公文式英語学習の強みについてお話しします。私の息子も小学校4年生から公文式教室で英語を学び始め、かれこれ6年ほどE-Pencilやプリントを使って勉強しています。部屋に積まれた学習済みプリントは相当な枚数に上り、あらためてずいぶん学習したんだなと感じます。

<町田智久先生のプロフィール>
国際教養大学専門職大学院教授。
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校大学院で修士号(英語教授法)及び博士号(初等教育)を取得。
2022年度フルブライト客員研究員(ジョージ・メイソン大学)。
各地の教育委員会等と協働して教員研修を開発・実施。
近著に『小学校英語の考え方』(大修館書店)、『英語にぐーんと強くなる』(監修)(くもん出版)。

前回のお話の中で述べましたが、英語学習の初期段階では「インプット」がとりわけ大切です。イラストや見出しなどを手掛かりに英語を聞くなど、理解可能なインプットを多く受けることが、英語力を伸ばす上では欠かせません。また、英単語やフレーズ、さらには「“?”や“!”」などの記号を見たり英文を読んだりするなど、英語の文の特徴を認識することも、目からのインプットになります。公文式英語学習は、プリントに描かれたイラストや話の題名などをヒントに、英文を見ながらくり返しE-Pencilで音声を聞き、慣れてきたらまねして言う活動を中心に構成されています(下図参照)。まさに、英語学習を始めたばかりの子どもたちにとって、インプット中心の学習になっています。

<公文式英語教材:E教材12番 I get up at six.>

「公文式英語教材の一覧」https://www.kumon.ne.jp/kyozai/eigo/sample/index.html

さらに、小学校から中学校レベルの教材(A~IⅡ教材くらい)では、子どもたちの生活に身近な話題に関するコミュニケーションが中心です。自分のことや家族の紹介、学校での先生や友達との会話など、子どもたちがよく知る話題であふれています。児童英語教育の研究者達は「使う言葉を子どもたちの生活と結びつけることで、子どもたちは英語を理解し覚えられるようになる」(*1) と述べています。実際に、子どもたちの発達段階に応じて世界が広がるように、公文式教材も学習の進度が進むにつれて、自分→家族→友達→学校→地域と話題が広がっていきます。これは、子どもたちにとっても自然な学習の広がりとなっていて、無理なく内容を理解できます。加えて、子どもたちが使える口語表現を中心に英語が書かれていて、楽しみながらコミュニケーション能力を伸ばす工夫がされています。

前回、同じ英単語や表現に何度もくり返し出合う「スパイラルな学習」の重要性についても述べましたが、KUMONの英語教材では同じ表現がくり返し、様々な教材で登場します。例えば「make(作る)」という動詞は、F教材で“He makes jam.”という文で登場し、GI教材では“But he makes time for me.”と「時間(抽象的なもの)を作る」という意味で登場し、GII教材では形を変えて“They are making shoes!”と出てきます。同じ表現が文や形を変えて何度も登場することで記憶に残りやすく、その表現を使う場面も理解しやすくなります。英語教育学者のLarsen-Freeman & Celce-Murcia(*2)は、児童生徒が文法を単に理解するだけでなく、実際に使えるようにならなければ教師の指導がうまくいったとはいえないと述べています。そのため、様々な表現や文法がどのような場面でどのように使われるのかを、スパイラルな学習の中で身につけることが大切なのです。

このように、子どもたちが無理なく英語の力を伸ばせる工夫の詰まった公文式英語教材ですが、より効果を高めるためにも“使い尽くす”ことが大切です。教室や宿題のときだけE-Pencilでプリント学習をするのでは、もったいないです。日本では外国語として英語を学習するため、日常では英語を使う機会が少ないです。何度も述べていますが、英語学習には「インプット」が欠かせません。十分なインプットを得るためには、教室での学習や宿題の時間以外でも 、E-Pencilを使って英語を聞き、まねして言う習慣をつけるとよいと思います。1日数分程度の短い時間でも構いません。私は息子に公文式教材を毎日聞いて、読むように言っています。毎日少しの時間ですが、英語にふれ続けることで「英語好き」につながっているようです。英語を聞き、自分で発音する時間をつくることで、自然と英語を理解することができるようになります。公文式英語教材を十分に活用し、英語が大好きな子どもたちが増えることを願っています。

<注>
*1: Shin, J. K., Savić, V., & Machida, T. (2021). The 6 Principles for Exemplary Teaching of English Learners: Young Learners in a Multilingual World. TESOL Press.

*2: Larsen-Freeman, D. & Celce-Murcia, M. (2016). The Grammar Book: Form, Meaning, and Use for English Language Teachers (3rd ed.). National Geographic Learning.